A_九尾すし
2020年5月27日に宇都宮駅パセオ「とちびより~栃木の旅のおくりもの~」で購入(880円)


 那須高原に伝わる(※)九尾の狐伝説にちなんだ駅弁。狐が人を惑わすほど、おいしい弁当にしたい願いを込められて「九尾すし」と名付けられたそうです。1961(昭和36年)の発売か。
◆九尾の狐伝説・・・鳥羽天皇(1103~1156)のお側に玉藻の前という才色優れた侍女がおり、天皇からの寵愛を集めていた。ところが、彼女は九尾の狐の化身、金色に輝く身体と9本の尾を持ち、天皇の精気を吸いとってしまう妖狐。インドでは斑足太子(はんぞくたいし)の、殷では紂王(ちゅうおう)、周では幽王の妃に化け、追われて日本へやってきた(←この遍歴は江戸時代に脚色された)。やがて、陰陽師の安倍泰親に正体を見破られた彼女は那須野が原に逃れ、矢で射られ死ぬ。しかし、死んでもしぶとく石に化けた。その石が火山性ガスを噴出し、付近一帯にぺんぺん草も生えないことから「生き物を殺す石」として恐れられ、「殺生石」の名が付いた。
 かつては黒磯、那須塩原(と東武浅草)の駅弁として多くの人に親しまれていましたが、2005(平成17)年11月限りで製造元が撤退。その後は失われた駅弁となっていましたが、復活を望む声が多かったのか、2012(平成24)年秋に発売元だったフタバ食品が運営する、東北自動車道上河内サービスエリア(下り)で復活しました。

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 掛け紙には殺生石と九尾の狐、松尾芭蕉門下の麻布なる人が詠んだとされる「飛ふものは雲はかりなり石の上」の石碑がデザインされています。

2022年追記:22年3月5日に殺生石が割れました

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 内容は九尾の狐をかたどり、中心の巻き寿司を囲うように9つの寿司が半月型の仕切り(殺生石をあらわす)に並べられています。

【九尾すし・お品書き】
・かっぱ細巻=4つ
・太巻寿司(かんぴょう、桜でんぶ、キュウリ)=1つ
・五目稲荷寿司=2つ
・稲荷寿司=2つ
・かんぴょう細巻=2つ
・チーズ寿司=1つ
・焼豚寿司=1つ
・サーモン寿司(洋辛子入り)=1つ
・ガリ、キュウリ漬、醤油

 中央の具材は駅弁時代、茶巾寿司、紅生姜の寿司など変化がありましたが、復刻版は太巻寿司で固定のようです。見た目はとてもびっくり仰天ですが、食べると何の違和感もなく感じます。これが妖狐の思う壺か…。

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 掛け紙の右下に綴られていた「九尾すし味三国を駈けめぐり」という歌は、故事にならって九尾すしが和洋中の寿司であることを指しています(サーモン=和、チーズ=洋→インド、焼豚=中華)。かつてはチャーハン入り稲荷寿司が入っていたという記述もあります。

 当時としてはとても奇抜な内容でしたが、主にナウでヤングな年代層に好評となり、全国的に有名な存在へ。

 昭和天皇・皇后両陛下もこの味を大変お気に召したそうで、那須の御用邸に静養される際にはこの九尾すしをご所望されました(献上という形ではなく、定価でのお買い上げだったという)。時には陛下のご要望でサーモンを、かつての具材であったロースハムに替えたこともあったとか。

 多くの人に人に愛された九尾すしは現在、宇都宮駅ビル・パセオ2階「とちびより」と東北自動車道・上河内SA(下り)で購入することができます。